地域の事例:「八王子市犬目の野鳥」2009

東京都八王子市の高尾山よりも北に位置した丘陵地「犬目」では
吉邨 隆資氏により、20年以上にわたる鳥類のラインセンサス調査がなされています。

自然の変化を読み解くことは、短期的には全貌を掴むことは難しく
地道な日々の記録がとても大切です。

吉邨さんは、1975年の学生のときから記録をはじめ、
途中中断をして1989年に再開、そこから20年以上絶え間なく
毎月の調査をされています。

この犬目地区にどんな野鳥が生息しているかを把握し、
また、周辺環境の開発がすすむなかこの地の鳥相がどう変化しているのかを
記録に残そうと考えて続けられてきたそうです。

2009年には、再開された1989年からの20年間の記録のまとめとして
「八王子市犬目の野鳥」を自費出版されました。

「八王子市犬目の野鳥 20年間の観察記録」

なかには、それぞれの鳥について記録された年月や個体数だけではなく、
どういった場所でみられるか、多く見られた時期、
逆に見られなかった時期の考察などが詳細に書き添えられています。

スズメやホオジロなどのごく普通にみられた種に関しても、
最近になり個体数が減少していること(スズメ:30、ホオジロ:26頁)や、
ガビチョウなどの外来種が近年定住し、個体数の増加が激しいこと(33頁)
などもこうしたデータからはっきりとわかります。

吉邨さんの観察記録はこうした言葉で締めくくられています。
「近隣には小学校から大学まで学校が多く、
この記録をもとに様々な鳥達の自然な姿に出会うことに
関心を持っていただけることを期待しています。」

貴重なデータが凝縮された報告書です。ぜひご覧ください。
これからも、多様な鳥たちとそれを見つめる温かな目が
たくさん集まる犬目でありつづけますように。

犬目の水田

(吉邨氏撮影、1990年9月の調査地内の水田)