はじめての調査 Q & A

「調査をやってみよう!」と思うけれど何からはじめていいかわからないという方へ、調査で準備するものや注意点などをまとめました。

 

調査のはじめに

Q. 調査をはじめるときに、どんな服装・持ち物が必要ですか?

A.基本は観察会と同じですが次のものを準備・持っていくといいでしょう。
(詳細はNACS-J監修「フィールドガイドシリーズ①自然観察ハンドブック」参照)

・服装と基本の持ち物服装と持ち物
ちょっとした藪などに入る場合は、ヒルやダニ・蚊に刺されないように、なるべく長そで長ズボンがよいでしょう。
熱中症予防や防寒対策として、帽子は必ずかぶりましょう。野外に長くいる場合は、水分補給も十分に気をつけることが大切です。
トゲのある植物などもあるので軍手があると便利です。調査の途中で突然天候が変わることもあるので雨具も忘れずに。
その他、救急道具や水分補給のために水筒は必ずもっていきましょう。

・記録用具
調査をした日や天候・気温、見つけた生き物の特徴など、記録をつけましょう。ポケットサイズのフィールドノート(野帳)のほか、調査する内容を記した専用の調査用紙もあると便利です。調査用紙を使う場合は画板もあると書きやすいでしょう。発見した場所を示すためにも地図があると便利です。
種を特定するために、生き物の特徴を文章や絵で記録するのもよいですが、写真にとると簡単です。生物だけでなく周辺環境も一緒に写真に撮っておくと種の同定の際の参考になります。

・観察道具
遠くの生物を見る場合、双眼鏡が便利です。鳥類だけでなく、植物(特に樹木)や昆虫を観察するときにとても役立ちます。調査では、できるだけ種の同定を正確に行うことが必要ですので図鑑は必須です。後で同定しようと思っても細部の特徴を見逃してしまうことも多いため、その場で同定したほうがよいでしょう。図鑑は持ち運びに便利なサイズをおすすめします。
観察やモニタリング調査に役立つアプリなどをリンク集で紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

・計測道具
巻尺、折れ尺、温度計、時計、カウンターなど調査にあわせて用意します。

 

Q. 調査をはじめるとき、心がけることを教えてください。

A. 「調査を行う時のマナー」として次のことを心がけましょう。

① 事前の準備
調査を実施するときは事前に、地権者や周辺住民に調査での立ち入りを告知しましょう。調査の概要を説明し、地権者に了解を事前に得てからはじめましょう。また、調査でどうしても標本採取が必要な場合には、地権者の許可を得てください。調査中に出会った人にはきちんと挨拶をし、質問された場合は、調査の概要について説明しましょう。

② 調査のインパクトを減らす
人が歩くだけでもそこに道ができ、調査参加者が多いほど、与えるインパクトは大きくなります。特に耕作地では周辺にはできるだけ立ち入らないようにし、立ち入る必要がある場合には、畦や土水路を壊さないように細心の注意を払いましょう。また、標本採取がどうしても必要だとしても、その場に少ないような生物は採取しないでください。

③ 安全に調査をする
調査は多かれ少なかれ危険を伴いますので、必ず事前に調査参加者を確認し必要な保険をかけておきます。また不慮の事故が起きた場合に具え、救急セットを持ち歩くことはもちろん、1人だけでの調査はできるだけ避けます。体調が悪い場合や悪天候のときの調査をしないこと、むやみに危険な生物(ヘビ・ハチなど)や危険な場所(崖地など)に近寄らないことも事故を未然に防ぐためには重要です。楽しく継続的に調査をするために安全第一を心がけてください。
※保険については各県の福祉協議会やボランティアセンターにお問い合わせください。

調査全体について

Q. どんな調査方法の種類があるのですか?

A. 知りたいことによって様々ですが、例として2種類の調査があります。

・「指標種の調査」
ある特定の生きものを対象に、分布や個体数などを調べることによって、その地域の自然環境の状況を間接的に知ることができます。このように、調査で調べる対象を決めて、「指標」とする種のことを指標種といいます。
例)「○○公園のチョウ類の種数と個体数変化をみる」
どんな指標生物があるかはNACS-J監修フィールドガイドシリーズ「指標生物-自然をみるものさし―」を参照ください。

・「生物相調査」
特定の地域に生息・生育するすべての生きもののリストをつくる調査です。植物相、鳥類相、爬虫類相、昆虫相など、まずは興味があって種類が多くない生物種からはじめるのがお勧めです。

Q. 毎月・毎年調査を続けていくのは大変です。

A. モニタリング調査は、とにかく継続が大切です。

調査をやる人が無理のない頻度で調査をしてください。例えば毎年することになっている調査でも、ある年にやらず、また次の年にやれば、2年ごとのモニタリングとして調査データを活用することができます。調査の予定日に天候が悪かったり、体調が悪かったりして調査ができなかったとしても、また次の機会にすることをお勧めします。

指標種の調査について

Q. 調べている生きものの数がどんどん減っているのですが、どうしたらよいでしょうか。

A. 生きものたちの個体数は、特に大きな理由がなくても毎年変化します。

波を打つようにたくさんいる年と少ない年を繰り返している場合もありますので、調べている生きものが本当に減っているのか、長い目で見ていきましょう。

本当に生きものが減っている場合には、何かの理由があります。 慌てて調べている生きものを他の地域から連れてきたりすると、かえってその地域の生きもの達の保全のためには悪い影響を与える可能性もあります。

調査の結果から何かが分かってきたときには、地域の博物館や知り合いの専門家の方などに相談して、どうしたらいいのかみんなでまずは話し合って、最も良い方法を考えてみましょう。

生物相の調査について

Q. 調査で見た生きものが何かわからなかったときはどうしたらよいでしょうか?

A.できるだけ写真やスケッチで記録しますが、見た生きものが周りにたくさんいるようなら1個体だけをとって標本にしましょう。標本や写真を図書館や自分の持っている図鑑で調べれば、名前が分かることがあります。それでも分からないときには近くの自然史博物館に持っていったり、観察会や勉強会に参加して聞いてみたりしてみましょう。

Q. 自信がないものを記録するときはどうしたらいいですか?

A. 鳥の鳴き声を特定したりするのは難しいですよね。自信がないときは、調査結果を記録するときに「?」をつけて、自信のある記録と分けて記録をするようにしましょう。

後になって調べたらわかるかもしれないので、鳴き声などのわかる限りの特徴や聞いた場所(林のなか、藪のなか…など)の情報などをメモしておくとよいでしょう。

地図の入手と注意点

Q. 地形図はどうやったら入手できるでしょうか?

A.探している地形図や航空写真は(財)日本地図センターで調べて、購入することができます。地図や航空写真はウェブサイトで閲覧できますので、年代や位置などを調べてみてから購入するほうがいいでしょう。それぞれのウェブサイトはリンク集に掲載しています。

Q. 植生図を作ったのですが、それを報告書やウェブサイトなどに載せるときは、何か注意することがありますか?

A. 植生図の元になっている地図には著作権があります。特に販売物などに利用する場合には、著作権を持っている発行元に利用許可を取りましょう。